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スタジオジプリ制作1991年公開の『おもいでぽろぽろ』(監督
高畑勲)を見た。
時は1982年、27歳のOLタエ子が山形の義兄の実家へと一人旅し、そのさなかにかつて小学校5年生だったころの自分を回想していく。
○クラスからつまはじきにされ転校していった男の子から投げられた言葉「お前には握手してやらないぞ」
○クラスの劇で与えられた役に物足りず、自分で役作りをして演じたのが好評を得、大人の劇団に誘われたのだが父の許しが出ず断念したこと
○女子の体の成長のことで男子とぶつかったこと
○隣のクラスの男子から告白を投げかけられたのに受けとめ方がわからなかった私
○初めてもたらされたパイナップルを消化できなかったわが家
○おばあちゃんとの温泉旅行も散々に終わりつまらなかった夏休み
○家族とのお出かけの時姉との確執が引き金となり、父に殴られたうえ置いてきぼりになったこと
これらは、タエ子にとって未解決な心のしこりとして、27歳のOLになった今もやわらかに引きずっている。そして、女性として生きる今、あの頃とそんなにかわりない自分がいる。
都はるみが歌うベット・ミドラーの『ローズ』を翻訳したエンディング・テーマ。その一節に、以下の歌詞がある。
「くじけるのを恐れて踊らない君の心」
「覚めるのを恐れてチャンス逃がす君の夢」
「奪われるのがいやさに与えない心」
「死ぬのを恐れて生きることができない」
そう、10歳の時から、「川」を渡ろうとしない、渡る勇気のない、渡ったときのすがすがしさを知らないタエ子がずっといたのだ。今回の長期休暇も、27歳になってまだ結婚しないのかというまわりの言葉をかわしながら、興味を抱いた農業に没頭するものの、そこで暮らしながら農業と向かう覚悟なんて全くなかった。それが、おばあちゃんの「トシオとの結婚を考えてくれ」という唐突な言葉で気づかされ、ついには5年生の時のなかまに促されるようにしてついに「川」を渡る。
こうしたタエ子には、男女問わず多くの20代あるいは30代の人間が共感できるのではないだろうか。私もいったいどれほどの「川」を渡ったものかと、都はるみの『ローズ』を聴く。
by くりんと
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