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やまとの花手帖

 
         
         

サツキマスとサツキ 

ツツジ科ツツジ属

熊野川(2003.5.18.)

 サケ科のなかまは、北海道や東北などの高緯度地域の場合、海へ下ることが多い(降海型)。しかし、中部以南の低緯度地域では標、高の高い冷水域に留まる傾向が強くなる(陸封型)。後者の例として、イワナやヤマメ、アマゴなどの渓流魚が有名である。しかし、ヤマメやアマゴのなかにも、海へ下るメスの存在がよく知られている。餌の乏しい渓流においてはせいぜい20〜30pにしか育たないものの、餌の豊富な海で1年過ごせば30〜60pの大魚となって産卵期に遡上する。神奈川県西部はヤマメとアマゴの分布境界だが、桜の咲く季節に海から遡上してきたヤマメを「サクラマス」、カワサツキの咲くころに上ってきたアマゴを「サツキマス」と呼ぶ。ゲームフィッシングの釣魚としても人気があり、福井県九頭竜川や秋田県米代川・雄物川のサクラマス、長良川のサツキマスが人気である。
 紀伊半島では、熊野川にサツキマスの遡上が見られ、地元では「ノボリ」と呼んでいる。私が竿とルアーを持って通うのも熊野川。この川にも、ノボリの遡上が見られる頃、カワサツキが花を付ける。こうした河岸は、増水による攪乱を受けやすく、長い年月の浸食によって岩盤がむき出しとなっている。カワサツキはそうしたところに自生地を広げた。岩のわずかな隙間にも根を伸ばし、少々の増水では容易に流されないよう低姿勢で育つ。日当たりはよく太陽光をめぐっての競争相手は少ないものの、乾燥にも耐えなければならない。したがって、ツツジの仲間にあっては葉が固くて小さく、地面や岩場を這う性質が強い。こうした渓流植物のたくましさを利用して、以前は庭の石垣などに植え風情を楽しんだ。刈り込みにも強く、公園や公共施設にもよく植栽されている。
 私の父もサツキが大好きで、たくさんの品種を盆栽で育てていた。そして、その水やりは私の日課であった。今や、マイホームにもサツキは育ち、ホトトギスの鳴く頃、玄関を彩る。

 5〜6月
 本(神奈川県以西)・九