Mountain Guide
                         くりんとの登山ガイド

           
   
 西大台周回コース
開拓跡付近

 「東大台」がトウヒやウラジロモミなどの針葉樹が多いに対して、「西大台」はブナやミズナラ、カエデ類など落葉広葉樹が中心である。 ただ、この西大台地区は、自然公園法に基づいて「利用調整地区」に指定され、2007年9月1日より入山規制が始まった。将来にわたり良好な自然環境を保持し、より質の高い自然体験の場を提供するため、日々の立ち入り人数等を調整しようとするもので、入山するためには事前に手続きをして、レクチャーも受けなければならない。その分、原生林本来の姿が少しずつ取り戻され、東大台の賑わいとは対照的で閑かな山歩きを楽しむことができる。

【大台教会〜ナゴヤ谷】
 大台教会の下を通り抜けると分岐路に出くわし、ここに利用調整区域を監視するための番小屋が建つ。時計回り・反時計回りのどちらを選んでも再びここに戻ってくるが、ここでは反時計回り(大台教会→開拓跡→吊り橋))のコースを説明しよう。
 さて、西大台ならではのブナやミズナラの森に踏み込んだと思いきや、いつまでたっても坂道でふかすエンジンの音が聞こえてくるが、ナゴヤ谷付近までは大台ドライブウェイが平行してすぐ右手を走る。車道が近いため、かつてはこの辺りの銘木が盗木・無断伐採にあったと聞く。林床には、東大台ではあまり見られなかったミヤマシキミが見られるようになる。
 ナゴヤ谷に出ると森が開け、テンニンソウやトリカブトの仲間カワチブシの群落(開花は8月下旬〜9月中旬)が渓流沿いに広がる。休憩には最適の場所である。
 また、ナゴヤ谷付近には、明治18年から3ヵ年にわたって大台ヶ原を調査したという探検家松浦武四郎の分骨碑がある。 簡単な道標とはっきりとした登山道がついているので迷わない。片道5分程度の寄り道というところだろうか。

【中ノ谷〜七ツ池湿原】
 ナゴヤ谷の次に現れる渓流が中ノ谷で、大蛇ーから望むことのできる中の滝へと流れ出ている。中ノ谷付近は開けており、人が植えたと思われる桜の大木も残っているが、木材の切り出しのために拓かれた場所だろうか。ここには、携帯トイレを使うための小屋が設置されいる。あらかじめ持参していくか、小屋内にも500円で販売されている。
 やがて、穏やかな峠にさしかかるが、七ツ池湿原の標識が見えてくる。七ツ池湿原は、かつて雨の後に現れたといういくつかの湿原からネーミングされているようだが、現在、登山道沿いにそうした湿原はなく、環境省が設置した防鹿柵が目立つ。この柵の向こう側には、今も湿原が現れるそうだ。ここから開拓跡まではブナの巨木が多く、樹皮が桜の木に似たミズメ(別名:ヨグソミネバリ)もよく目にする。

   
大台教会   西大台入口の種子マット   ナゴヤ谷
   
松浦武四郎分骨碑   携帯トイレ用小屋(中の谷付近)   七ツ池湿原
   
木材切り出しのための廃道跡   開拓跡   赤い吊り橋

【開拓跡】
 明治の初め、大台ヶ原の開拓はヤマト谷や高野谷の水場近くから始まり、農作物の栽培などを試みたが失敗に終わっている。当時うけた森林のストレス(伐採等の人為的行為)は、100年たった今も完全に復元することなく、厳しい気象条件下においては自然再生の難しさを物語っている。
 この付近には、大きな湿原がありすぐ目につく。そこにはカエデ科のチドリノキが自生しているのだが、この木の葉は分裂せず全くカエデらしくない。しかし、種子にはカエデ科独特の翼がついているというユニークなカエデである。

【展望台〜逆峠】
 開拓分岐から赤い吊り橋を2つ渡れば、駐車場までの帰路となるが、逆峠の方へ約15分ほど歩くと大蛇ーに向けて開けた展望地がある。 ここで昼食をとるのはどうだろう。耳を澄ますと、ゴジュウカラやコゲラなどの野鳥が多いのに気づく。
 途中、大人5人が手を回してやっと届く幹廻りの巨木(ミズナラ)があ る。その形から「カボチャの木」と呼ぶ人もいるようだが、西大台の土壌の浸食を読み取れる。また、ツキノワグマの目撃情報が多いのもこの付近なので、心して歩かれたい。

【吊り橋〜ナゴヤ谷】
 開拓分岐から2つの赤い吊り橋を渡る。それぞれの川はやがて合流し、西ノ滝となって東ノ川へ落ちる。ここからの帰路は上りとなり、 大きな石がごろごろとした悪路が続く。ここはリョウブやヒメシャラ、フウリンウメモドキが多い。途中からナゴヤ谷が平行しており、ヤマブドウを見つけることができる。戦前・戦中の架設跡と思われる陶磁器製の絶縁体碍子(がいし)が、樹木にねじ込まれたまま今も登山道沿いに残っている。

 
 
 
   

 
   

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