Mountain Guide
                         くりんとの登山ガイド

           
   
 富士登山は牛歩戦術!
剣ヶ峰(日本最高地点3776m)

お鉢巡り(火口一周約90分)

地蔵の頭は風化し溶岩石が置かれている
雲海の向こうは八ヶ岳
8合目よりご来光
白雲荘より山頂を見上げる

 

 “山ガール”に“富士登山”が、今夏の流行。お盆過ぎの富士スバルライン5合目は、以前にもまして若い女性たちの姿が目立った。私にとっては、3度目の富士登山。最初は20代の時で、日帰り登山で剣ヶ峰に立つという強行スケジュール。「かつてないしんどい登山だった」という記憶しかない。2回目は2年前、同行させた息子が8合目あたりで高山病に苦しみリタイア。そして、今回がそのリベンジというわけだ。

 前回は、夜行バスを利用し、朝出発で8合目の山小屋で泊。そして、深夜1時から山頂をめざし、頂上でご来光を見るという一般的な日程だったのだが、そもそも山頂でご来光を見ることに、私は全く興味がない。まして、睡眠不足が息子の高山病を重くしたかなという反省もあり、今回は、十分睡眠のとれる関西朝発のバスツアーを選んだ。5合目を夕方に出発し、8合目の山小屋で仮眠。朝5時に起きてご来光を見ながら、ゆっくりと山頂へ。この日程だと、お鉢巡りをして日本最高地点に立つ時間的余裕もある。個人で行けばマイペースの日程を組めるのだが、何せ富士登山のバスツアーは安い!

 さてこうしたツアーで行くと、添乗員以外に富士登山ガイドが別に就く。今回は中村獅童似のガイドについていただいたが、彼が実によく富士登山の登攀ペースを熟知しており、独りよがりの、そして後で息切れしかねないペースにブレーキをかけてくれる。国会では野党の「牛歩戦術」というのがあるが、牛がのらりくらりと歩くペースは富士山でこそ、いや日本中の山登りで活用してほしい戦術だ。ちなみに、NHKのTV番組「ためしてガッテン」では、山の登りはじめは演歌を歌いながらのペースがベターと紹介していたが、牛歩戦術はさらにさらにゆっくりとしたペース。その上、日帰り登山ではなく、8合目で山小屋泊の仮眠をとるわけだから、ツアー一行の登頂率はかなり高くなる。一方、8月の富士登山の場合、体力的には問題なくても、悪天候や9合目からの大渋滞で登頂できないこともしばしばらしい。

 富士登山の成功には、ゆったりとした日程に少々の天候運、そして「牛歩戦術」です!

 
 
 
 
   

 
   

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