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トガサワラ (栂椹

マツ科トガサワラ属

 

×1.0

 

×1.0

 

  球果は4〜6p。10月ごろ成熟して黒紫色になり白粉をかぶる。苞鱗は種鱗より長く突き出し、3裂するのが特徴。
  葉は長さ20〜25mmで先が鈍く、葉枕(葉の付け根の部分)はほとんど発達しない。

 


三之公トガサワラ原始林(2005/AUG)

 

三之公トガサワラ原始林(2010/JUL)

 

三之公トガサワラ原始林(2005/AUG)

   

三之公トガサワラ原始林(2010/JUL)

   

  常緑高木。樹皮は赤褐色で厚く、老木は灰褐色になり縦に薄くはがれる。樹冠は広円錐形。現在、紀伊半島と四国の一部に生育している種で、ここ三之公の純林は国指定の天然記念物となっている。トガサワラの和名は、外形がトガ(ツガ)、材がサワラに似ていることからその名が付けられたという。
 スギやヒノキ、モミやツガなどの温帯性針葉樹は、古い時代に栄えた樹木だが、その後、新参者で強い競争力を持った落葉広葉樹や常緑広葉樹が植生域を広げ、現在は、落葉広葉樹林帯と常緑広葉樹林帯の移行帯を中心に尾根筋や稜線部で肩身の狭い自生を強いられている。この仲間は、ヨーロッパでも日本でも化石としても発見されており、文字通り「生きた化石」と言われる所以である。
 学問上のこの木の発見は、1893年(明治26年)のことである。地元では古くから「トガサワラ」の名で知られた木であったが、当時、東京農科大学の大学院生であった白澤保美が奈良県吉野地方に向かった際に、この標本を持ち帰ったのがきっかけとなり、2年後にこれをツガ属の新種として発表した。
 紀伊半島・高知県