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増えすぎた神鹿 −ニホンジカとその生態−

奈良公園では春日大社の神鹿、大台ヶ原では?

【シカの1年】
  冬・春
集団

発情期以外
 母子からなる母系集団、母親から独立したゆるいオス集団に分かれて生活する。

 

出産期
 メスの妊娠期間は210〜230日間で、翌年の5月下旬〜7月上旬にふつう1頭生む。 大台ヶ原のシカは栄養状態がよく、雌の妊娠率は90〜100%。

発情期
 オス集団は崩壊、1頭のオスと数頭のメスからなる交尾集団が、秋を中心に約1ヶ月間できる。

 

 

夏毛への換毛
(5月上旬〜6月下旬)
 茶褐色の地色に白斑で“鹿の子模様”とも呼ばれ、林の中ではカモフラージュできる。

冬毛への換毛
(8月上旬〜10月下旬)
 無斑で灰褐色となるが、オスジカには発情期にだけ首の周囲にタテガミ状の毛が伸びることもある。

 早春に角が落ち、すぐに袋角がはえだす。

 8月頃になると、血流が止まり、表皮が乾いてはげ落ちる。

 9月頃、枯角(枝角)完成。
 
 
夏毛   冬毛

【シカの寿命】
 環境によって異なるが、野生ジカの寿命は、オスは6歳前後、メスは8歳前後という報告もある。ちなみに、奈良公園のシカには20歳以上のものもいるという。
 オスジカの場合、角の形状によって1〜3歳まで判断できる。枝角のない場合は満1歳、枝角が1つ(1又)の場合は満2歳、枝角が2つ(2又)の場合は満3歳以上、角が3つ(3又)の場合は満4歳以上と判断できるが、 栄養状態が大きく影響することから、確かな判断材料にはならない。

4月の落し物
 枝角が2つ(2又)なので、持ち主は満3歳以上の雄ジカだったと推定できる。

8月中旬の袋角
 まだ袋角の状態で完成は9月下旬以降だろうか。今のところ2又なので推定3歳かな。

【シカの足跡】
 本州に棲息する野生の偶蹄類(蹄をもつ哺乳類)は、イノシシ、ニホンカモシカ、そしてニホンジカの3種しかいない。牛や馬、山羊も偶蹄類だが、大台ケ原山中においては除外しておいて間違いないだろう。
 ただ、先の3種の場合、足跡だけではなかなか見分けが難しい。イノシシの場合、副蹄(後爪)が低い位置にあって外向きに広がっているのが特徴で、ニホンジカの場合、副蹄は高い位置にあるから深い雪でない限り跡が残らない。
 糞は、草食動物に特徴的な黒いペレット状のものだが、これによく似た落とし主には、ノウサギ、ニホンカモシカがいる。ノウサギのものはまん丸で扁平状だから、慣れればすぐ見分けられる。問題は、ニホンカモシカとニホンジカの違いだが、こればっかりは足跡と糞だけでは断定できない。

足跡 副蹄の位置に注目 歩幅
食み跡 角とぎ跡
【シカの鳴き声】
意味 鳴き声
発情期 オスジカが縄張りを主張するとき フィーョー・フィーョー・フィーョー、 フューン・フューン・フューン
  オスの鳴き声 ミュゥーン
  オスが他のシカに対抗するとき ミーフーン
威 嚇   ゲ・ゲ・ゲ・ゲ、 グ・グ・グ・グ・グ、 ク・ク・ク・ク・ク
警 戒   ピャッ
仔鹿を呼んだりするときのメスの鳴き声 チュィーン