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「奈良にうまいもんなし」という揶揄がある。この地に生まれ育った私は、そうも思わないが、「食いだおれ大阪」の隣にあっては、おのずとその食文化の影は薄いのだろう。もう一つ、とびっきりの海の幸や山の幸、また全国区レベルの郷土料理が少ないということだろうか。このことはもしや、奈良の音楽シーンにおいてもあてはまるかもしれない。 エンヤトット一座を結成して十七年。はたして「なら野菜」や「なら牛」、「なら料理」に成り得ただろうか。少なくともそんな気概は持ちながら、「ならの音楽」の創造と発信を続けてきた。昨今の日本の音楽シーンの拠点と発信地は、東京一極集中。70〜80年代にみられた各地方からの発信は影を潜めつつある。そんな中にあって、私たちのささやかな音楽活動が、座標軸の一点を築き、やがて星雲となって一等星の対極をなすことを夢見ている。 2007年12月 くりんと |