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イノシシ

偶蹄目イノシシ科

 
高野辻(2010.JUN.)

高野辻(2004.FEB.)
 
高野辻(2004.FEB.)
高野辻(2005.FEB.)   高野辻(2005.FEB.)

大塔町阪本(2004.JUN.)
 
大塔町阪本(2004.JUN.)

 
 
歩幅はオスの成体で60〜80cm、メスの成体や幼体で40〜50cm。 シカとの見分けが難しいが、イノシシの方は、副蹄がより地面に近い位置にあるため、浅い雪でも跡がつきやすい。 生け捕りしたイノシシの画像で副蹄のつき方を確認してみるとよくわかる。


高野辻(2004.MAR.)
 


金剛山麓(2006.MAR.)


 シカやウサギほどコロコロとせず、糞塊を軽く圧縮したようなもので、ため糞をしないところがタヌキとの違い。右画像はザリガニの甲殻が3分の1混じっていた。


高野辻(2004.MAR.)
 
高野辻(2005.APR.)
春日山(2007.SEP.)    

高野辻(2004.MAR.)
 
高野辻(2004.MAR.)


 土を掘り返した土耕跡はラッセル跡やアセリとも言う。植物の根や根茎を食べるため、イノシシは地面を掘り返すと言われているが、まるでユンボでかいたようなあきれるほどの痕跡である。真中は、まだ青いムベの味見をしたと思われる。
 下段は、偶蹄類の無数の足跡が残り、まるで相撲をとったか、お祭り騒ぎをした後のような荒れようである。いわゆる「ぬた場」である。

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  食の対象は、タケノコやクズ、ヤマノイモなど植物の地下茎や根、またドングリや果実などに及び、基本は草食性である。ただ、昆虫やミミズ、サワガニ、ヘビなども捕食する。登山道脇や法面などで、イノシシによる土耕跡をよく見かけるが、まるで重機を使ったかのような掘削跡に驚く。イノシシの鼻はたいへんな力の上に嗅覚も発達しており、 まるでセンサー付のユンボのような鼻で、地面の下の食料を獲得するために発達したらしい。
 また、ダニ等の寄生虫を落としたり、体温調節をするために、泥浴を行うことが知られており、そうした湿地は「ぬた場」と呼ばれている。イノシシがころげまわる姿を苦しみあがいていると映ったのか、「のたうちまわる」という言葉の語源はここからきている。ニホンジカも同様の行為を行うが、大きなぬた場に出くわすと、前夜にはまるで動物たちの大宴会が行われた祭りの後のような様相に唖然とする。

  ヨーロッパからアジアにかけて広範囲に分布するが、日本には、ニホンイノシシと奄美・沖縄に分布する小型のリュウキュウイノシシの2亜種が存在する。ちなみにブタは、イノシシが家畜化されるうちに品種化していった動物である。
 オスの牙は非常に鋭く、この牙ですくいあげられると、猟犬であっても大変な深手を負う。「猪突猛進」という言葉もあるが、体重が100kg近いものもいて、その上時速45km近くで走ってきて、体当たりされれば非常に危険である。 だた、直進しかできないというのは誤りで、急停止も方向転換もできる。一方、垂直ジャンプは苦手なようで、被害の多い田畑では、低いトタン板で囲むだけで その進入を阻むことができるようだ。
  オスは単独生活をし、メスはその年生まれた子供たちと母子集団を作る。しかし、その母子集団も出産ごとに作り直され、前年の子供は追い払われる。イノシシの交尾期は1月より約2ヶ月間。メスの発情は3日程度で終わるので、オスは次の発情メスを求めて奔走する。自ずと強いオスが多くのメスと交尾することになる。
 通常4月から5月頃に年1回、平均4〜6頭ほどの子を出産する。妊娠期間は約4か月。母は、授乳・巣作り以外には積極的な子育てはせず、子供の死亡率も高い。ブタもそうであるように、たくさん産んで放任主義で育てるようだ。
 本(日本海側の豪雪地帯を除く)・四・九